関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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日水協関西地方支部共催事業74ですから、自然独占性がある場合には、公的セクターが直接供給することが正当化されることになるのです。 また、公的セクターは、社会的な利益を追求するので、そのことを根拠にすることもあります。 社会的利益と民間企業の利益というのは必ずしも一致しませんから、政府が供給する、或いは地方自治体が供給するというというものです。しかし、公共セクター自体が本当に社会的利益を追求しているのかという批判もあることに注意する必要があります。 ナショナル・ミニマムという考え方もあります。最低限のサービスを政府が供給する、補償する必要がある、ということです。 これに対しては、その通りなんですけれども、別に民間企業に委託すればいいじゃないか、という考え方もあります。 公的セクターがサービスの提供を企業的に行うものが公営企業ですが、その特徴は一般企業と比べて、大きな違いがあり、二面性を持っています。 より広い、公の目的に合致したようなこと、つまり公共性と、事業としての採算がとれるという企業性との二面性の両立です。 利潤を考えた上で公共的な利益を追求するというのが公営企業ですが、民間企業は、利益がないと存続出来ません。民間は、利益を上げることが主目的になります。 公営企業も、ある程度、採算性がないといけない、ということになりますが、これが公共の利益の追求とあいまって、比較的それが弱くなります。同時に、国や議会の関与があって、独立性が弱くなるというのも特徴です。 それから、公的セクターと比べ、民間セクターのほうが、効率的だということを、色々なデータが示しています。そういうことを考えると公営企業の民営化という流れも考えられるわけです。  水道事業のライバルにあたる企業をみると、飲料水メーカーと水供給企業が挙げられます。アメリカなどでは水道水を浄水した飲料水が最もよく売れているというデータもあります。 安い水道水を加工し、付加価値を高めて消費者に供給しているのです。 水供給企業ではヴェオリア・ウォーターなどがよく知られていますが、同社は、主に10年を越えるコンセッション方式のアウトソーシングで業務を行っています。料金の徴収、設備運転、維持管理、そして施設の更新までも契約に含む場合が多いのです。施設更新のリスクを把握できるのは、膨大なデータを保有できる大企業でしかできないという面もあります。公的セクターの二面性水関連の民間企業●公企業の特徴主たる目的公共性企業性  1)規制  1)経営の独立性強い弱い弱い強い  2)所有  2)採算性公共セクター弱い民間セクター強い公企業公共利益の追求利潤の追求民間企業

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