関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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56工事中の水道専用の須川ダム工事中の導水トンネルが災害対策用に製造しているボトル水には「自然流下一万メートル」というブランド名をつけて、この施設のPRを行っています。 奈良市水道局のこの時代は水源開発一色の時代でした。1971年の導水路完成までの間にも、1966年夏季に大渇水が起こり、大規模な断水を招いたため、1968年には、1964年の変更に引き続き、次のような変更を行っています(同第3次事業)。1つは、急遽、市内各地に7本の井戸を掘るなどの緊急措置を講じたこと、もう1つは、水利権の新たな取得です。後者は、導水路完成後は休止することとしていた創設期以来の木津浄水場を、新たな水源を確保した上で、再び、稼働させようとするものでした。 新たな水源として、今の比奈知ダムや布目ダムも構想され、このダムも奈良市水道局でやろうかという位の勢いだったそうです。最終的には、水資源機構の多目的ダムとして建設され、奈良市はそのダムに参加する形になりましたが、特に布目ダムについては、利水者が、ほぼ、奈良市水道局だけであったため、ダム建設の当事者の1人として、現地に水道局の出張所を設置し、水資源機構と一体的に補償交渉に当たったと聞いています。 先日、当時の水資源開発公団の方にお話を聞いたところ、奈良市区域内となるダム直下流地域の用地交渉や電力会社に対する減電補償など、現地での交渉だけでなく、水道局の目の前にあった公団のダム建設事務所との打ち合わせも頻繁に行われ、当時は、本当に、奈良市水道局にはお世話になったと言っていただきました。この結果、布目ダムは、もっと早くから計画されていた比奈知ダムよりも早く着工され、早く完成した訳です。 今日、奈良市水道は、先人の作ったこれらの施設の更新時期を迎えていますが、人口減少が予測される中、今度は、これらの施設をいかにコンパクトに作り替えていくかが、我々に課せられた課題です。奈良市水道局 水道事業管理者池田 修

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