関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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54 「大容量送水管」は震災後計画され、平成8年から事業を進めてきました。現在は、最後の区間である奥平野工区(奥平野浄水場~布引立坑)のシールド工事を施工中です。 これまで取り組んできたこれらの様々な施設整備が、実際の災害でどのくらい機能するのかは、これらハード面に加えて市民と共に実施する応急給水訓練や出前トーク(水道の災害対策)等、ソフト面での取り組みも欠かせないと考えています。これまでも毎年、ほぼ全ての応急給水拠点において、神戸市の地域の防災組織である防災福祉コミュニティ(以下、防コミ)等、市民と協働で応急給水訓練を実施しています。これに合わせて、発災直後の自助・共助が重要な期間にも対応できるよう、防コミ等に拠点開設のための鍵を渡し、スムーズな拠点開設の体制を整えているところです。また、昨年度は応急給水拠点のシンボルマークを全国で応募・選定し、今年度は全ての応急給水拠点にそのシンボルマークの看板を設置する予定です。これにより、誰が見ても「ここにくれば飲み水がある。」ということを知ってもらえるツールになると考えています。 また配水管の耐震化の「見える化」施策として、小学校への「いつでもじゃぐち」の設置も行っており、災害に強い水道のPRと、訓練等を通して震災の経験の伝承も行っています。 これらの取り組みを継続して実施していくことにより、震災の経験を風化させることなく、南海トラフ巨大地震等の大災害に対しても機能する様に備えることが重要だと考えています。今後も真に災害に強い水道として、ハード面、ソフト面の方策を推進するとともに、対外的にも被災経験があるからこそできる、災害に強い水道システムについて情報発信していきたいと考えています。神戸市水道局水道事業管理者水道局長 横山 公一大容量貯水槽(緊急貯留システム)応急給水拠点シンボルマーク

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