関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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53 1995年1月17日午前5時46分、阪神淡路大震災の発生。全国の水道関係者から多大なる支援を頂いたこの未曾有の大災害が、神戸市水道にとってはこの50年で最も大きなトピックであり、ターニングポイントになりました。 この地震により導送配水管、浄水場、配水池等、あらゆる水道施設で大きな被害が出ました。中でも配水管では1757箇所の破損、給水管も約9万箇所が破損する等、市内全域で大規模な断水が発生し、全市で応急復旧が完了するのに3か月間を要しました。また、本庁舎も水道局の事務所があった6階部分が圧潰しました。勤務時間中の地震であれば、多くの職員が犠牲になり、その後の復旧・復興にも大きく影響したのではないかと思われます。 この大震災は神戸市水道局にとっては大変厳しいものでしたが、一方で非常に貴重な経験にもなりました。水道システムや災害時の応急給水に関する弱点、日を追うごとに高まる市民の水道に対する要望等、災害に備えるために短期的、長期的にどういった対策をするべきなのか等、それまでの取り組みを見直すきっかけとなりました。これらを踏まえて、同年7月には「神戸市水道施設耐震化基本計画」を策定し、初期断水と断水の長期化を防ぐ対策を盛り込みました。 この計画に基づき、応急給水のための「緊急貯留システム」、事故を減少させるための「配水管の耐震化」、リダンダンシー(冗長性・多動性)や応急給水等の複合的な機能を有する「大容量送水管」が3つの主要施策として進められることになりました。 「緊急貯留システム」は計画していた47か所が今年度中に全て完成する予定となっています。 「配水管の耐震化」については、耐震化率が震災発生時に9%だったものが、今年は34%になっています。今後も地盤条件なども考慮し、配水管網再構築計画立案システム(P-DES)を活用して、優先的に更新すべき管路を選定しながら更新・耐震化を進めていきます。本庁舎の被害(水道局部分が圧潰)配水管の被害神 戸 市関西の水道とともに

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