関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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49 大阪市の水道は、明治28年の創設以来、118年に渡る長い歴史の中で「水源から蛇口」に至るトータルシステムを確立しながら、「量」と「質」の両面にわたる観点より安定給水の確保に努めてきました。 まず「量」の面では、度重なる市域の発展に合わせて、これまで9回にわたる拡張事業を進めてきた中、関西ウォータークラブが発足した昭和38年は、第8回拡張事業として、庭窪浄水場の増設や豊野浄水場の新設を進めるなど、施設拡張の時代でした。その後、維持管理の時代へと移行し、経年施設の更新等の施設整備事業に取り組んできましたが、水道施設に多くの被害をもたらした平成7年の阪神・淡路大震災を契機に、本市は、震度7クラスの直下型地震に対しても、発災直後の飲料水や消火用水、日増しに増加する生活用水など、水道に対するニーズに的確に対処できるよう、また早期復旧が可能となるよう震災対策の見直し・強化を図りました。具体的には、避難所等の防災拠点や病院等の重要施設に至る配水ルートの優先的な管路耐震化や、災害時には給配水拠点となる配水場の新設などを推進し、より信頼性の高い水道に向けて着実に成果を積み重ねてきています。 次に「質」に着目すると、日本で最初の水道水質に関する自己検査機関を設立した本市は、琵琶湖・淀川水系全域にわたる水質調査や微量有機物質に対する浄水処理の検討など水道水の安全性確保に関する数多くの取組みを進めてきました。中でも、特筆すべき取組みとして、高度浄水処理の導入があります。琵琶湖では、昭和56年以後ほぼ毎年のようにかび臭が発生したため、水道水に異臭味がつく原因となり、また、給水栓水における総トリハロメタン濃度が水質基準値以下であるものの、より安全な水道水の供給のためにはその低減が必要でした。このような背景から、本市は、異臭味の除去及びトリハロメタンの低減を含む総合的な水道水質の改善を目的に、平成4年から、オゾンと粒状活性炭による高度浄水施設の整備に着手し、平成12年に市内全域に高度浄水処理水を通水しました。さらに、最近では、水安全計画やその他の安全・品質管理の取組みを統合し、本市独自の「水安全マネジメントシステム」を構築し、平成20年にはISO22000の認証を取得するなど、より安全で良質な水の安定供給に取組んでいます。 また、関西ウォータークラブに関わる水道関係者との活動に目を向けますと、水道を取り巻く共通な課題について議論を交わすなど、互いに連携を深めてきたことに加え、東日本大震災における応援活動が挙げられます。日本水道協会の枠組みのもと、関西地方支部長都市として、関西の他の水道事業体の協力をいただきながら、広域的視点に立った応急対策活動に係る責任を果たしてきたところです。具体的には、岩手県内の被災都市に対して、関西の他の水道事業体と連携し、応●高度浄水処理フロー図大 阪 市関西の水道とともに

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