関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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日水協関西地方支部共催事業76目標、無理な目標を設定しても、やる気をそぐだけです。チームの使命感、誇れるような組織にする、というのが重要だと思います。 使命感のないことをやる人はいないでしょうし、やはりプライドが大事だと思いますね。 そのため、日本の水道事業は世界に誇れるようなものだ、ということを、もっと発信していく。それをマスコミにも知ってもらう、ということが大事だと思います。 次に、利用者側の観点から公企業組織の改革を見ていきたいと思います。 需要サイドの問題は、公的セクターがもっとも苦手にしているところです。 利用者のことを考えているといいながら、実はあまり考えていないとも思うのです。 たとえば水温が高いとまずく感じますが、本当はおいしいんだということを力説する。それは供給者の理屈ですね。民間企業なら、いかにおいしく、いかに売れるようにするか、考えるわけです。 供給側が努力しているが、需要側で汲み取ってもらえないとすると、その解決策は、戦略的な広報です。 今まで水道水が安全で安心であるかを知ってもらうことが広報でしたが、これからは如何に水道水を利用してもらうかという戦略的広報方式に転換していかねばなりません。 さらに多様な料金方式が必要になってくるでしょう。例えば大都市の単身者、郊外の庭付き一戸建て世帯など、個々のニーズを汲み取る料金体系も考えていかねばならないと思います。 それから、新規サービスの開拓も重要です。 家庭内の水循環システムを、住宅メーカー、あるいは電気メーカーと共同開発するということも考えられますし、ヒートアイランド対策として、ビル壁面の冷却システムですとか、ミストなんかもそうですけども、新しい水需要を生み出す様なものなどが考えられます。 こうした新規サービスには、他の分野での人材を確保することが必要でしょうし、現在抱えている人材を他分野と交流させることで、おもしろいアイディアが出てくるものではないでしょうか。 ですから、ぜひとも民間企業と協力して新たな事業を展開していただきたいと思います。 公的セクターは、その役割は無くなることはありませんから、過度の変化を恐れる必要はなく、様々な挑戦をして頂きたい。 そして、広く都市環境の中での水供給を考えた、トータル技術のなかでの水道といった視点にシフトしていくべきではないか、と思います。戦略的な広報を●新規サービス実現のヒントと留意点項 目実現するためのヒント留意点①他の分野との人材交流(私鉄の例)②異なったバックグランドを持った人の採用③民間企業と共同で事業を行う④法制度の改定⑤新たな市場を作る⑥都市の文化・歴史的遺産を利用する何度も言うが、公営企業が民間企業と同じように、独自に新規サービスを開拓することは得策ではない。(理由):公的サービスの役割、リスクの問題公・民パートナーシップでやるのが賢明である。

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