関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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64たことのない甚大な被害を受け、大阪府内で唯一の激甚災害指定地域に指定されました。本市は昭和57年度から耐震管を採用していましたが、この大震災での教訓を機に、耐震化計画を見直し、重要路線の優先的耐震化、配水系統間のバックアップ機能の強化、配水池の耐震化、各避難所への応急給水栓の設置など、耐震化に向けた施策を積極的に推進しています。 平成10年度には、市内で6つ目となる緑丘配水場を建設しました。これにより、一日最大給水量の12時間分以上の貯水能力が確保できたとともに、加圧配水地域の縮小が図られ、市内の95%が自然流下で配水できるようになるなど、環境面から見てもエネルギー効率のよい配水システムを構築することができました。また、近年の水需要の減少も相まって、配水管圧に余裕が生まれてきたことから、直結式給水の拡大も順次図っています。 このように、本市では維持管理が本格化しているなかで、さらなる維持管理の効率化、高度化を図るべく、平成17年度からは水道情報システム(GIS)を本格導入し、維持管理業務の支援をはじめ、管網解析、管路評価、断水検索など、各種計画づくりや非常時対応等にも反映させています。■これからの事業運営に向けて 水需要は平成2年度をピークに減少しており、これに呼応して料金収入も減少の一途をたどっています。この傾向は今後とも続くものと予想している一方で、安定給水を確保・向上させていくためには、更新すなわち耐震化をさらに加速させていかなければなりません。そのためには、効率的経営の推進はもとより、長期的視点に立った事業の推進が何よりも必要であると考えています。 現在、本市では、平成20年度に水道事業と下水道事業との組織統合を機に策定した新たな地域ビジョンとなる「とよなか水未来構想」のもと、上下水道事業が果たすべき将来像を掲げて各種施策を推進しています。さらに、現在作成中のアセットマネジメントを活用して、今後は、超長期的な見通しのもと、より戦略的かつ効果的な施策を展開しながら、持続可能な事業運営を目指していくこととしています。 「とよなか水未来構想」に描く将来像の実現に向けて、役割と課題を常に意識しながら、お客さまの視点に立った安心で快適な給水ができるように、職員一丸となって取り組んでいきたいと考えています。豊中市上下水道事業管理者阪口 博緑丘配水場

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