関西ウォータークラブ 50周年記念誌
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55 奈良市水道は1922年9月に給水開始し、今年2013年9月で91年の歴史が経過しました。この間、人口増や隣接市町村との合併等による給水量の増大に対応するため水源開発に努めてきたのですが、この50年間のトピックスといえば、何といっても、水道専用ダムと導水トンネルの自力建設です。 当時は、「奈良国際文化観光都市建設法」(1950年10月制定)に基づく都市建設事業が始まり、国際観光都市にふさわしい水道施設の整備・充実も急務となっていました。このため、市域のはるか東部に位置する布目川、白砂川あたりにダムを作り、市中心部まで約10km、一万メートルを自然流下で導水し、その水を処理する浄水場を整備するという壮大な構想を1959年3月に策定したのですが、奈良市水道局は実際にそれを実現したのです。 この構想は、先ず1961年、創設期以来の木津浄水場に代わる新浄水場(緑ヶが丘浄水場)の建設を中心とする第3期拡張事業第1次事業としてスタートし、1963年には、木津浄水場からの水源を転用する形で、新浄水場の一部通水にこぎつけました。翌1964年には、さらなる人口増に対処するため、水道専用の須川ダムと導水トンネルの建設を含める計画に変更し、しかも、その工事を奈良市水道局自ら実施することとしました。先の大構想の完全実現に向けて、さらに歩を進めたのです。(同第2次事業)。 この工事は作業員2人が殉職するなどの難工事でしたが、ダムは1969年に、導水路は少し遅れて1971年に完成しました。この2つの施設は、今も、奈良市水道局のメインの施設となっています。この事業は、当時、自然流下水源導水路事業と呼ばれたことから、現在、奈良市水道局緑ヶ丘浄水場全景奈 良 市関西の水道とともに

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